左から、のらえもんさん、すんで埼玉さん

それぞれの場所に住む人たちの思惑を探るべく、このサイトでも連載を続けている湾岸タワマンに住む自称・湾岸妖精(ブロガー)の、のらえもんさん@Tokyo_of_Tokyo)と、Twitterで積極的に埼玉県の物件情報を発信している、すんで埼玉さん@sunde_saitama)の対談が実現しました。

 東京湾に面した都内の人気住宅地・湾岸エリアと、東京近郊のベッドタウンとして知られる埼玉県……。

 インタビューを仕切ったのは、共に埼玉出身である編集者とライター。のらえもんさん対埼玉勢3人による攻防はいかに。その一部始終をお届けします。

さいたま新都心は“海のない豊洲”!?


さいたま新都心駅周辺

今回のテーマはズバリ
「湾岸 VS 埼玉の住宅事情」です。

とはいえ、埼玉勢3人がいる状況で、のらえもんさんにとっては若干不利な状況かもしれませんが……。フェアに進めるためにまず、それぞれのよさを語っていただきましょう。

やはり、東京湾岸エリアは眺望がよくて都心に近い。ちょっと歩いたら海にも行けますが、こういう環境が「寂しい」と思う人と「開放感があっていい」と思う人もいて、後者の人たちが選ぶエリアとなっていますね。埼玉には、湾岸みたいなエリアはないよね?

まあ、ゼロですよね。しいていえば、さいたま新都心の開けた空気感が「海のない豊洲」を思わせるかなって(笑)。どこを切り取るかにもよりますけど、平坦な土地にマンションや商業施設が立ち並んでいて、歩道も広く、天気がよければ空が抜けた開放感も味わえるから、あえて対抗するとしたらさいたま新都心がそれっぽいとは思います。

さいたま新都心か、なるほど。私も郊外出身だからわかるんですけど、東京から埼玉などの郊外へ行くと、歩道がとにかく狭いのが目立つんですよ。車道と歩道がきちんと分離されていない場所が多くて、自宅のある湾岸の感覚のままで歩くと辛いときもあって。

たしかに……。つい最近も東武東上線の志木駅で同じことを思いました。志木駅の周辺にマンションがどんどん建っていたんですが、インフラの整備が追いついていないのか道路がとにかく狭くて。志木は駅前が活気あって楽しいんですけどね。だから、のらえもんさんの指摘は正しいと思います。

眺望のよい湾岸と、公教育に力をそそぐ埼玉


※画像はイメージです(以下、同じ)

――早くもおたがいの住む地域に対する印象が出ましたが、改めて、のらえもんさんからみた埼玉の印象、すんで埼玉さんからみた湾岸エリアの印象は?

埼玉って代表格は大宮ですかね? マンション族なのでどうしても駅から徒歩圏内で住むことを考えちゃいますね。そうすると、正直なところ大宮の駅近にはあまり住みたくないです。駅前商業は発達しているけど、風俗店やラブホも多いし、子どもの教育を考えるとどうにも……。ただ、氷川参道周辺の住宅地は素晴らしいの一言ですので、駅前の一部を切り取ればという感じです。
同じさいたま市内で考えると、やはり浦和の常盤あたりは落ち着いてますし、教育熱心な方が多いです。埼玉は東京と比べると公教育への信頼が厚いと感じますね。正直、都内や神奈川の一部エリアだと「小学校はともかく、中学校からは私立へ通わせないと…」って空気感もあります。場所によっては私立中学受験組がクラスの半分もいますからね。高校まで公教育で育てることを考えると、教育のコスパは高いのかなって。とはいえ、浦和あたりだと物件の相場が湾岸と同じかそれ以上になっている場所もあるから、だったら「都内へ住めばよくない?」とも思います(笑)。

(笑)。湾岸エリアのよさはまず、都心へのアクセスのしやすさですよね。東京メトロの豊洲駅から有楽町駅までも4駅だし、タクシーを使えばいろいろな場所に行けるので。赤坂の飲み屋街から深夜割増でも4000円ぐらいで帰れるし、移動の利便性はやはり素晴らしいと思います。
それに、埼玉では絶対に手に入らない「眺望」もあるから。僕も友だちが住む湾岸のタワマンへ行ったことがありますけど、圧倒されて正直に「悔しい!」と思いました(笑)。でもじつは、湾岸と埼玉って親和性もあると思うんですよ。

親和性って?

勝手な持論ですけど、どっちもフロンティア精神を持っている気がするんです。湾岸エリアは2011年頃に、東日本大震災の影響で危険性を指摘されて叩かれていた時期もあったじゃないですか。かたや、埼玉も「ダサい」と言われがちですけど、どんな声があろうとそれを受け止めながら前へ向かう姿勢が似ているというか。
 埼玉は何がなんでも住みたいっていう憧れの街ではないだろうけど、物理的な距離はまったく違う湾岸エリアと埼玉は「遠いようで近い存在なのかな」と思っています。