左から、のらえもんさん、すんで埼玉
東京湾に隣接し“都心に一番近くて最後のニュータウン”ともいえる湾岸エリアと、ときに「ダ埼玉」と揶揄されつつも東京近郊のベッドタウンとして存在感をみせつける埼玉。それぞれの土地に住む人たちは、いったい何を思うのか。
前回に引き続き、湾岸のタワーマンションに住む人気ブロガー・のらえもんさん(@Tokyo_of_Tokyo)と、Twitterで埼玉の物件情報を積極的に発信し続けているすんで埼玉さん(@sunde_saitama)に、それぞれの土地にまつわる住宅選びについて徹底討論してもらいました。
埼玉のおすすめエリアは「西大宮」
――さて、今回お2人には「湾岸対埼玉の住宅選び」をテーマに議論していただきたいと思います。そこで、みなさんの住む地域でのおすすめエリアを教えてください。
では、僕からいきましょうか。埼玉ならばやはり東京にはある程度近いところのほうがいいですね。理想は都心まで電車30〜40分圏内。1時間ともなるとフットワークが重くなるので、ちょっとした用事でも都内へ気軽に出られるアクセスのしやすさは担保しておいたほうがいいかなと思います。
僕は鴻巣市出身なんですけど、JRの湘南新宿ラインが通ってからは新宿まで1時間ほどだけど1本で都内へ出られたので心の障壁が低かったんですよ。でも、より近いほうがいいですし、それもふまえた上でおすすめなのが、西大宮ですね。埼京線からりんかい線に乗り入れているし、快速や通勤快速に乗れば新宿まで約40分、恵比寿にも約50分で行けるから便利です。
んーあんまり知識ないんですがそれなら、つくばエクスプレスの三郷中央駅や東武東上線の和光市駅のあたりはどうですか?
それこそ和光市は、副都心線と有楽町線の両刀でイケるからめちゃめちゃおすすめです。ただ、土地がないので古いマンションのリノベ物件しか選択肢がないかもしれません。三郷中央はつくばエクスプレスで秋葉原まで20分ほどですけど、より都心に行きたいならそこから乗り換えるのが少しネックかもしれません。
都心直通の沿線を選ぶべき
直通路線かどうかは重要だよね。湾岸は直線距離で都心へ近いものの、りんかい線沿線と有楽町線沿線、大江戸線沿線では行き先がまったく変わってくるから。湾岸エリアは距離的には丸の内、有楽町に近いけど、その中でもりんかい線沿いの有明や東雲は大崎駅経由で新宿や渋谷へ直通1本なのでこちら方面の通勤需要を取り込んでいたりもする。けっこう色んなパターンが考えられるんですよ。
人それぞれの勤務先によっては有利不利も変わってくるだろうし、豊洲は新宿へ必ず乗り換えが発生するという問題もあるので。まあ、どれほど許容するかにもよるけど、さっき言った三郷中央は秋葉原勤務地ならアクセスもいいし、新築でも3000万円くらいでマンションを買えるのはお得ですよね。
めちゃくちゃ安いです。つくばエクスプレスの三郷中央辺りは若干高くなっているんですけど、JR武蔵野線の三郷駅方面へ近づくにつれて「何これ?」と思うくらいの価格になります。戸建てを考えるにしても、乗り換えが必要な駅の周辺は当然ながら土地が安いし、そのぶん建物自体であったり“上モノ”にお金をかけられるメリットもありますよね。
都心へ直通している地域は埼玉なりの価格だけど少し高めになっているし、その中でもより安いのはアクセスに手間がかかるところだから、支払いコストが同額でもよりいい住宅を選べるのはメリットでもあります。
そもそもが、郊外に家を構えて都心へ通うのはもう自分たちの親世代の行動パターンだったんだよね。バブルの時代に都心の物件が高くなり過ぎたとか住環境が悪かった反動で郊外に散ったけど、結局みんな時間なくなって都心方向にまた集まってきた。リモートワークで都心に行く必要が無いとか、通勤も週2、3日ペースでいいみたいな時代になったと考えれば、埼玉を選ぶのはアリといえばアリかもしれない。
ただ少子高齢化で首都圏市町村ですら人口減少に悩まされるのは確定しているので、郊外へ住むならば場所を選ばないとその波に飲み込まれる可能性もあります。